『なんでも描く』― 2

 制作がどんなに手馴れてきても、デッサンは基本中の基本である。 エドガー・ドガは「デッサンは物の形ではなく、物の形の見方だ」と、言っている。この【見方】という所が面白い。デッサンとは単に形を正確に描くことを言うのではなく、物の形がどのように形成されているのかの捉え方を指すわけだ。形を正確に描くだけなら、練習を繰り返して技術を上げれば良い。が【見方(捉え方)】となると人それぞれが持ち合わせた感覚的な要素が強く影響し個性という曖昧さも含んでいる。そして創作においては、その個性(曖昧さ)が魅力的なポイントとなる。しかし、個性的な表現ができればいいのかというとまたそうではない。 つまりデッサンは、対象がどうなっているのかをよく【観察】し、そのものに適した本質を自分なりの線を用いて再現することだ。この【観察(観察力)】が重要であり、観察力とは【事実】をありのままに捉える力のことである。観察を一つの素材に絞り徹底することは決して悪いことではないだろうが、世の中様々なものが存在するのだからその様々なものに意識を向けた方が自分の可能性を見出すチャンスにもつながる。 年齢には関係なく、いくつになっても挑戦者・創造者そして冒険者であり続けるために・・・。