全身全霊

 『全身全霊』とは、精神・肉体ともに極限の集中状態を意味するものだ。また、その極限の集中から得られる状態は『フロー』や『ゾーン』とも言われている。

 私も制作に没頭すると度々これを感じることがある。集中するというより何かに憑りつかれた様な状態になる。自分が描いているのに他の誰かが描いているようで、それをもう一人の自分が見ている。確かに集中できるのは良いのだがこれがまた極端すぎる。『寝食を忘れて』という言葉があるが、まさにそれを地で行くようにある期間“ほとんど食べず・ほとんど寝ない”。さすがに生身の肉体は体力を消耗して体重も落ちるが、精神的には充実し疲れを感じないどころか頭はますます冴えてくる。身体は少し休めばまた回復するので、この繰り返しで作品の完成に至る。それを常に見ている妻は『これだけ身を削り全身全霊で制作するのだから作品を手にした人は幸せだよね』と、言ってくれる。

 昨日の有馬記念ではリスグラシューが有終の美を飾ったが、競馬に関わる方たちがそれぞれの立場で『全身全霊』を傾けて役目を果たしているからこそ、感動的シーンはこれからもずっと生み出されるのです。